坂道は上るもの

乃木坂46についてメインに書いていますが、時折、勉強や旅行や法律問題についても書いています。乃木坂46のファンの行動についても統計分析を行っています。

品質とライブ

 

 

 

はじめに

  • 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
  • ISO9001やISO14001などよく見かけると思います。その規格を取得していることを売りにしている会社も存在します。それらの規格をよく見かけますが、一体どういうものか説明するとなると難しいです。品質マネジメントシステムやPDCAといった言葉が出てきますが、それが一体これらの規格とどう関係しているがよくわからないと思います。とにかく取得していれば、いいことがあるということは分かるという人も多いと思います。僕も今の仕事に就くまではよくわかりませんでした。それがどういった規格であるかなんて考えたこともありません。今回はISO9001について、乃木坂46のライブや音楽番組の例を使って、お話ししたいと思います。認証機関が行っているセミナーのように規格を解説するような内容にはできません。ざっくりとどういったものかを知ってもらえればと思います。

 

 

ISOって何?美味しいの?

地球ののイラスト

  • ISO(International Organization for standardization)はスイスのジュネーブに本部を置く、世界共通の工業規格を作成する組織です。そこで作られた規格がISO規格です。ISO規格は会社が取得しているイメージが多いですが、実は身の回りにたくさんあります。ネジの規格、線路の幅、紙のサイズ、標識などたくさんあります。ISO規格がなければ、各国で異なる規格になってしまい、日本で買った自転車をアメリカに持って行き、アメリカで自転車を修理しようとしたときに、日本とアメリカのネジの規格が違えば、わざわざ日本からネジを取り寄せなければなりません。さらに今はグローバル化が進み、外国製品が日本に入ってきたり、日本製品が外国に行ったりしているため、規格が異なれば、本国から部品を取り寄せなければならなりません。ますますISO規格の存在が重要になっています。
  • ISO規格で規格を統一化することで、各国との規格の齟齬をなくしています。日本も独自の規格でJIS規格が存在しますが、大半の規格はISO規格に準拠していますが、一部独自の規格も存在します。紙のBサイズはJIS規格です。ISO規格はAサイズです。ISO規格の部品や材料であれば、世界中どこでも使うことができます。ISOとJISはサッカーのFIFAJFAの関係と同じで、FIFAの規格に準拠しているJFA Qualityのサッカーボールをドイツで公式球として使うことはできませんが、FIFA Qualityのサッカーボールであれば、全世界の試合で公式球として使うことができます。
  • これを品質規格(ISO9001、ISO13485)や環境規格(IS14001)や事業継続(IS022301)なども同様で、この規格を取得していれば、外国企業と取引したり、外国へ輸出している企業と取引したりする際の信用になります。ISO規格を取得していると、それが1つの国際的な信用になります。

 

 

ISO9001って何?

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  • ISO9001は会社の品質マネジメントシステムについて規定した規格です。この言葉だけで理解できる人は多くないはずです。僕も最初聞いたときは、「は?」となりました。少し噛み砕くと品質を確保するための社内体制を構築し、顧客満足度を高めるための規格です。品質の確保とは、製品やサービスを安定的に供給することです。例えば、近所のパン屋さんでクロワッサンが売っているとします。いつ行っても形や大きさや味はほぼ同じだと思います。これが、行くたびに形や大きさや味が異なっていることはないはずです。いつでも同じモノやサービスを提供することが安定した品質の確保です。つまり、大きなばらつきを生まない社内体制の構築がISO9001では必要になります。それは顧客満足度を上げるためです。
  • その顧客満足度を上げるために、品質確保を目的とした社内体制の構築です。品質の確保のために行うことが文書化、権限の細分化、確認です。ISO9001では社内業務を文書化し、文書通りに業務を行うことが求められます。それは人が変わっても同じように業務を行えるようにするためです。その業務で行ったことを記録に残し、後の人が何かあった時に履歴を追えるようにしていなければなりません。権限の細分化はどの部署にどのような権限があるかを明確にし、トラブルが発生した場合の対処や責任を明確にするためです。ここを間違えると縦割りになってしまい、業務運営に支障を来してしまいます。権限を細分化することで、各部署の権限を明確にし、安定した品質が担保できる組織を作ることが、最終的に顧客満足度を上げることができます。最後の確認はどの業務においてもミスがあるかもしれないしれないので、その業務について確認をしなければなりません。テストの見直しに近いです。顧客に製品やサービスを提供する場合は確認までしなければなりません。
  • ISO9001は取得した当時の水準を維持するのではなく、常にアップデートしなければなりません。そのためにPDCAサイクルを回し続けなければいけません。Pは計画(plan)でどのようなことをするかであったり、どのような方向性で進めるかであったりを決めます。Dは実行(Do)でその計画や方針に従って行動をします。Cは確認(Check)で、計画や方針に基づいた行動が逸れていないか検証します。そしてAは改善(Action)で、検証結果をフィードバックし次に生かします。そして新しい計画や方針を設定します。常に成長し続けることで、その時代にあった品質を維持しなければなりません。こうすることで安定した品質が担保されています。

 

  • ここからISO9001を乃木坂46に当てはめていきたいと思います。ISO9001は前任者が抜けても、手順書や記録を基に行えば、後任の人が行っても同じように作業ができるとされています。乃木坂46では卒業したメンバーのポジションに別のメンバーが入り、同じようにパフォーマンスをしています。この時の手順書は振り付けや移動になり、記録はそのポジションにいたメンバーがパフォーマンスをしている姿になります。その観点から見ると、昨年の10月に卒業された中田花奈さんは完璧です。乃木坂46のパフォーマンスというサービスの品質を落とすことなく供給されています。ISO9001では誰がやっても同じようなパフォーマンスになるようにしなければなりません。中田さんは誰のポジションであっても、そつなくこなすします。

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  • 突然ですが、皆さんはライブはお好きですか?僕は大好きです。早く現地で観たいと思っていますが、配信であれ、非常に楽しいです。実はライブはISO9001の観点から見ると最悪です。先に断っておきますが、乃木坂LLCに対する批判ではありません。先ほどは中田さんのパフォーマンスは最高と言っていたのに、いきなり手のひらを返しやがったなであったり、顧客満足度は高いからと問題ないんじゃないかであったりと思われるかもしれません。これについて詳しく説明します。先ほどは抜けたメンバーの穴埋めを他のメンバーがそつなくこなすことができると説明しました。ISO9001に当てはめると、楽曲が発売された当初以上のレベルを維持しなければなりません。流れにそぐわなければ、どこかでアップデートする必要があります。音楽番組であれば、それが可能ですが、ライブではそれを実現することが難しくなります。ライブのコンセプトは一度きりといった花火に近いものがあります。
  • ライブでは楽曲が発売された当初よりレベルの高いパフォーマンスをしますが、その振り付けであったり、フォーメーションの移動であったり、演出や衣装が異なったりします。ISO9001の観点で言うと作業が標準化されていませんし、そのライブだけそのパフォーマンスでその衣装であれば、逸脱になり不良扱いになります。仮にパフォーマンスや衣装や演出などを変更する場合も、手順書に定められた手続きに従って、変更しその記録を残さなければなりません。手順書から逸れた作業をすることは逸脱になり、逸脱も記録しなければなりません。ライブではよくあるその地名を歌詞の中に入れることも逸脱になり、不良扱いになります。ISO9001は個性を消して、均質化することで安定した品質が担保できるのです。そのため、ライブの一夜限りのパフォーマンスや演出は逸脱以外の何ものでもありません。ただ、ライブではその日しか観ることができないパフォーマンスや衣装であったり、サプライズであったりを観るのが楽しい場所です。ライブの楽しさとISO9001が求めるものは正反対です。ライブでのハプニングやサプライズは付き物ですが、ISO9001はそれを認めません。すべて逸脱して処理する必要があります。

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  • ISO9001では作業をする際に個性を求めず、標準化を求めます。それに対してライブはメンバーの個性を求め、その日しか味わいことのできないものを求めます。逆にISO9001に則ったライブであれば、MVと同じパフォーマンスもしくは音楽番組用のパフォーマンスになります。フロートやステージから手を振れば逸脱になります。そんなライブを観たいとは思えませんが、これがISO9001です。標準化することで管理する側の負担が小さくなります。作業を標準化し効率化することは会社運営であれば無駄な業務が減り、健全化が図れますが、ライブではそういった標準化や効率化を求めずに独自性があり非効率的なものを求めます。
  • 乃木坂LLCがISO9001に沿った組織運営がなされていないといった批判ではありません。組織運営の中で見れば、ライブは顧客満足度を上げるためのイベントの一つです。常にいいものを提供するという意味では今回書いた内容と異なることになります。今回の焦点の当て方は非常に限定的です。広い目で見ればPDCAサイクルも回っているはずです。そうでなければ、毎回あれほど楽しいライブはできないはずです。メンバーやスタッフの方が一丸となっていることは伝わってきます。もう一度言いますが、LLCに対する批判ではありません。

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最後に

  • なぜ、今回このようなことを思いついたかと言いますと、会社でISO9001の勉強をしていて、そのときにふとライブに当てはめると面白いかもしれないと思い、今回に至ります。ISO9001の規格の規定について書いても、認証機関のセミナーに勝てるはずがありません。だったら、面白おかしく書いてやろうと思い書きました。そのため、非常にざっくりとした内容になっているかもしれません。ISO9001をじっくりやろうとするとこんな短い文章では収まりません。概要であっても真面目に内容を書くのではなく、身近なものに当てはめると親近感を持ってもらえるかなと思い書きました。会社とかでISO9001を見かけたときにそういうことかと思ってもらえれば非常に嬉しいです。