坂道は上るもの

乃木坂46についてメインに書いていますが、時折、勉強や旅行や法律問題についても書いています。乃木坂46のファンの行動についても統計分析を行っています。

頼まれたからにはしっかりと

 

 

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はじめに

  • みなさん、先日のバスラには行かれましたか?最終日に新曲披露があって、非常に盛り上がりましたね。僕は3日目だけでした。たった1日でも楽しいですね。またグッズが増え、タオルはすごい量になりました(笑)。そんな楽しいライブでよく問題になるのが、グッズ代行トラブルです。ライブを楽しみたいのに、トラブルに巻き込まれて、不完全燃焼の方もいらっしゃるのではないでしょうか?そんなトラブルに巻き込まれたくないですよね。そんなトラブルも法律的に解決してみましょう。

 

 

グッズ代行の法律的立ち位置

  • ライブ会場でよく見るグッズ代行の大半は請負になります。実は、最初、代理行為だと思っていましたが、グッズ販売所で購入する金額と、代行依頼者がグッズ代行者に払う金額が異なることから代理ではなく、請負になると気づきました。グッズ代金に代行費用を上乗せしているので請負にあたります。請負も代理も民法で規定されています。
  • ちなみに代理についてですが、友達から、「あの店に行くなら、ついでに俺のも買っておいて」と頼まれ、本人の代わりに何かを行うことです。この場合、購入金額と代理人が依頼者本人に払うお金に差異があってはいけません。代理はあくまで、依頼者本人の代わりで、依頼者本人=代理人になるので、販売元から代理人が購入しても、依頼者本人が購入したと見なされるため、購入金額に差異があるとはおかしいことになりますね。なので、グッズ代金に上乗せをしていなければ、請負ではなく、代理になります。

 

 

グッズ代金に上乗せしない場合(代理)

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関係図(代理)
  •  順番は前後しますが、まずは代理から見ていきたいと思います。SNSではあまり見かけませんが、友達に頼む場合は代理に当てはまります。代理人が行うことは頼まれたグッズを買い、代理人が持っている間にグッズを壊さないように大切に扱い、依頼者に渡します。そして依頼者からその代金を受け取って、代理人としての仕事を終えます。「サイリウム買って来て」と頼んだのに、タオルを買ってこられても困りますよね(笑)。この場合は代理人としての仕事を果たしていないことになり、代金は支払う必要ありません。ただし、サイリウムよりもそのタオルが欲しくなった場合は別です。それに関しては、代理ではなく、売買契約になります。
  • ライブ会場で「不良品かどうか確認をしてください」とグッズを買ったときに言われます。運のいいことに僕はまだ不良品に出会ったことがありません。そうそう巡り合うものでもないですよね。代理人は不良品確認を行わなくても問題ありません。グッズを代わりに買った代理人の役目はグッズを買って、買った状態のままで依頼人に渡すことです。追加で他のことを依頼している場合は、その約束に従うことになります。内容によっては代理から請負になることもあります。仮にグッズが不良品であっても、所有権は販売元から依頼者本人に直接移り、販売元と依頼者が売買契約を結んでいると見なさせるため、依頼者本人が不良品を理由にグッズ販売所で交換することができます。実はこの部分が請負と大きく異なるので、先に代理を取り上げました。

 

 

グッズ代金に上乗せする場合(請負)

 

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関係図(請負)
  • SNSでよく見かけるグッズ代行は請負が大多数を占めています。請負をする場合には請負人に課せられる義務があります。まずは代理と共通する部分から見ていきましょう。依頼人に依頼されたものを渡すことは代理であろうと請負であろうと同じです。依頼者のもとにしっかり届けるのが役目です。
  • 請負にだけ課せられる義務を確認しましょう。それは購入を依頼した品物が不良品であるかの確認です。実は請負の場合、不良品確認は請負人がしなくてはなりません。グッズ代行の場合だとグッズ代行者が不良品確認を行わなくてはいけません。グッズ代金に代行費を上乗せしている以上、不良品確認の義務が発生しますし、依頼人と販売元には契約関係が存在しないため、不良品を理由に交換することはできません。この場合、不良品を理由に交換ができるのは、販売元と売買契約を結んだグッズ代行者だけです。仮にこの作業を怠った場合、確認作業を行ったことを理由に受け取り拒否、もしくはグッズ代金だけの支払うになることも考えられます。確認作業も請負の義務の一環なので、怠れば、債務不履行となり、契約解除の理由にもなります。グッズを渡されたのであれば、グッズ代を渡さないと、人としてまずいとは思いますが、、、
  • SNSでのやり取りで、依頼者から不良品の確認作業をしなくてもいいと伝えた場合は、グッズ代に代行費用を上乗せした金額で問題ありません。依頼者もそれを納得して頼んでいることになるからです。何も伝えていない場合は、確認作業は必須です。それが抜けていることを理由に受け取り拒否をされても言い返すことはできません。そこまで言う人はよっぽどのクレーマーだと思いますが。確認作業をして、袋に入れるときにグッズを壊しても債務不履行を理由に受け取りを拒否されることもあります。グッズ代行をする際の法的責任は代理よりも重いので、このことを頭に入れておいてください。
  • SNSで確認作業はしないが、代行費用を上乗せして代行する場合は、請負から代理になります。本来の金額と異なるため、代理行為から逸脱する恐れがあり、代行依頼自体が無効になることも考えられます。その場合は、本来使わなくていい時間を割いた手間賃であると相手に理解してもらう必要があります。
  • 代行を依頼するときに細かく決めておきましょう。SNSのダイレクトメッセージでも法的資料となります。

 

 

考えられるトラブル

  • 代理人や請負人がグッズを買ってから、不注意でグッズを壊した場合は、依頼人はその代金の支払い義務はありませんし、依頼人には支払いを要求することはできません。民法で規定されている債務不履行による損害賠償の対象になります。依頼人代理人に対して賠償を求めることもできますが、この場合は後払いであるため、グッズ代だけで済むと考えられます。法律は抜きにして、壊してしまったら、本人に必ず謝りましょう。
  • 代理人や請負人が意図的に壊した場合は、器物損壊罪で犯罪になります。所有権は依頼人(請負の場合は少しグレー)にあるため、他人の物を壊したことになります。さらに、民事では民法上の不法行為に対する損害賠償も請求できます。グッズ代に少し上乗せした額になるでしょう。どれだけ、行っても数万円だと思います。しかし、限定品であれば、購入価格より高くなるため、額が跳ね上がるかもしれません。友達に頼まれて、わざとそのグッズを壊す奴がいるとは思いにくいです(笑)
  • グッズの持ち逃げは、最悪の場合、窃盗罪か横領罪に当たります。代理人であるため、所有権は依頼人にあると考えられるため、それを持って逃げると犯罪です。さらにそうなると不法行為に対する損害賠償の対象にもなります。持ち逃げ行為は犯罪ですので、気を付けてください。
  • 代行を頼まれて、しっかり役目を果たしたのに、お金を渡さず、モノだけ盗られれば、窃盗罪、暴行に及んでグッズを取り上げた場合、強盗罪になります。強盗罪は殺人や放火と同じく凶悪犯罪に分類されます。その分、窃盗罪より刑もはるかに重たくなるので気を付けてください。代行者は依頼者に対して、代金支払いを強く求めることができる権利があるので、しっかり対応しましょう。それをできなくするようなことをする依頼者は犯罪者として警察に突き出すことができます。

 

限定グッズ
  • 限定グッズの持ち逃げの場合、お金を渡していない状態であっても、窃盗罪ではなく、より重い詐欺罪の適用が考えられます。これは代理や請負に関係ありません。限定グッズはその場でしか買えず、他の場所(公式サイトのショッピングページなど)で買うことのできないグッズであれば、オークションサイトで売れば、定価よりも高い値が付くと考えられます。そのため、依頼者はその分の利益を盗られたと考え、さらに代行するふりをしていることから騙す意思があると考えられ、詐欺罪の適用が考えられます。詐欺罪を広く適用するとライブに必要と思われるサイリウムを持ち逃げされた場合も詐欺罪の適用は考えられます。それがあるとないとではライブの楽しさが大きく変わります。初めてのバスラはサイリウムを買えずにライブに行ってしんどい思いをしましたが、隣にいた人が貸してくれて難を逃れました(笑)。ただし、量的ではなく質的な部分は判断が難しいので、警察官、検察官、裁判官が乃木坂46好きであれば、これが詐欺罪の適用になると考えるでしょうが、他の人たちだと少し難しいかもしれません、、、

 

最後に

  • Twitterで「お金を払っていなければ、グッズの持ち逃げは問題ない」と言っている人がいますが、今回の内容でそうではないことがわかったと思います。最悪の場合、捕まってしまう可能性すらある恐ろしい行為です。グッズの代行が悪いとは言いませんが、初対面の人に依頼するのは勇気がいりますし、本当に信用していいのかも疑ってしまいます。友達に頼むであれば、気も楽ですし、持ち逃げされることはほとんどないはずです。持ち逃げされた日には絶交してしまいますね(笑)。グッズ代行が法律的にリスクのある行為であることを依頼する側も受ける側もしっかりしておく必要があると思います。次のライブではグッズ代行トラブルが減るといいですね。グッズ代行でトラブった場合は、刑事事件であれば、SNSから簡単に犯人を突き止めることができるので気をつけてください。
  • 長々と書きましたが、言いたいことはせっかくのライブは心底楽しみたいですよね!