坂道は上るもの

乃木坂46についてメインに書いていますが、時折、勉強や旅行や法律問題についても書いています。乃木坂46のファンの行動についても統計分析を行っています。

あなたは騙されましたか?

 

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はじめに

  • みなさん実験はお好きですか?実験と聞けば、理科室であったり、研究室であったりで行うイメージが強いはずです。昔やっていたドラマ「ガリレオ」を思浮かべる人も多いのではないでしょうか?今回、なぜ実験の話をしたかと言いますと、実は社会科学においても実験はでき、Twitterのアンケート機能でこっそり実験を行っていました。どのような実験を行ったかについてお話していきます。タイトルの意味も途中で分かるかもしれません。

 

実験って懐かしい響き

  • 今回行った実験は対照実験といって、植物の光合成を確かめる実験をしたはずです。そのときに片方には透明のビニール袋をかぶせて、日光に当てていたはずです。もう片方は黒いビニール袋をかぶせて、日光の当たらないところに置いたはずです。日光に当てた植物の方は酸素濃度が上がっていたはずです。日光を避けた植物は酸素濃度が低くなったはずです。光合成を希望する植物には日光を与えないといけないことですね。今回はそれをアンケートで行いました。
  • 何もしていないグループを「統制群」と言い、何か施した(刺激を与える)グループのことを「処置群」と言います。この場合だと、日光に当てた植物が「統制群」、黒いビニール袋をかぶせられた方が「処置群」となります。アンケートでも普通の設問にしているグループを「統制群」とし、アンケートに細工をしたグループを「処置群」としました。アンケートの詳細は次の章で見ていきましょう。

 

 

調査内容

  • 年齢のイメージについてアンケート調査を使って行いました。ただ26歳についてどう思うかを聞くだけでなく、比較する人を設問に入れることで投票結果にバラツキがあるのではないかと思い、アンケートしました。年下の比較を鈴木絢音さん、年上の比較を白石麻衣さんとしました。ちなみに26歳は僕のことです。26歳にもなると人生を考えたくなる年齢です。
  • Twitter上の乃木坂46を対象に「26歳はどう思う?(以後、統制群)」、「絢音ちゃん(鈴木絢音さん)の5個上はどう思う?(以後、処置群上)」、「まいやん(白石麻衣さん)の1個下はどう思う?(以後、処置群下)」という3つの設問に対して、選択肢を「おじさん」、「お兄さん」、「なんか、もう無理」、「子ども」の4択としました。それぞれの獲得総数が194票、176票、94票でした。ご投票ありがとうございます。
  • まさか、同じことを質問されて、投票結果が変わるなんて思われたかもしれません。さて、その結果はどうなったのか見ていきましょう!

 

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調査結果表(統制群)

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調査結果表(処置群上)

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調査結果表(処置群下)


調査結果

  • どのグループでも「お兄さん」が圧倒的多数を占めていました。その中でも統制群が「お兄さん」と回答した人が多かったです。「おじさん」については統制群と比較して、処置群(上)は約4ポイントも上がりましたが、処置群(下)と比較すると約3ポイント減少しました。「なんか、もう無理」は統制群に対して、両処置群とも上がっています。上げ幅が大きいのは処置群(下)で統制群と比較して約10ポイント上がっています。「なんか、もう無理」という設問は多様な解釈ができますが、ネガティブイメージであることに変わりないと思っています。最後は「子ども」についてです。統制群と比較して処置群(上)になると、約6ポイント上がっています。それに対して処置群(下)では約3ポイント減少しています。年齢に直結する選択肢では回答の増減がきれいに分かれることがわかりました。いいイメージも悪いイメージも比較するをする人で大きく変わることがわかります。

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比較グラフ(おじさん)

 

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比較グラフ(お兄さん)

 

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比較グラフ(なんか、もう無理)

 

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比較グラフ(子ども)
  • 鈴木さんの年齢から5個上である26歳の印象は老けたイメージやネガティブイメージが強くなったのかもしれません。この場合、情報が26歳という年齢から鈴木さんと比較してどうかという情報に無意識のうちにすり替わっています。そのため、鈴木さんのイメージを中心に考えてしまうため、年齢の高いイメージに振れたのだと考えられます。5個下の鈴木さんを推しているとなると少し危ない臭いがするので、ネガティブイメージに振れますよね(笑)
  • 白石さんの1個下である26歳は老けた印象はなくなり、逆に幼いといったイメージが強くなっています。内容としてはどれも26歳のイメージ関するアンケートです。比較する人を変えるだけで結果が大きく変わります。白石さんとの比較で「なんか、もう無理」が増えたのは予想外でした。むしろ、この項目に関しては同年代なので統制群より少なくなると予想していました。これに関しては、どう解釈していいかわからないです。もしかすると、白石さんが卒業されることに対する辛さなのでしょうか?それとも白石さんが今の年齢まで第一線で活躍された超人的な活躍に対する称賛の意味なのかはわかりません。
  • 処置群(下)で「なんか、もう無理」が増えたこと以外は予想通りでした。年下との比較であれば、年齢が高いイメージに振れると予想できましたし、年上との比較だと幼い方に振れると予想ができました。実験を行う場合はある程度、結果を予想しながら行うことが多いです。その結果が違う場合にどのような解釈をするかもちょっとした楽しみですが、頭を悩ますことでもあります。
  • さて、この調査結果が統計的に正しいかどうかを次の章で見ていきましょう。

 

 

グループ分けその分析

  • 対照実験を行う場合には、グループ分けが必要になります。社会科学の実験では、無作為にグループ分けを行った場合(ランダムアサインメント)、各グループに属している人たちの個人差はないものと仮定されます。各グループが同質であると仮定しなければ、実験を行なったときの刺激が効いているかどうかを検証することができません。社会科学ではある程度、条件を決めておかないと分析ができなくなってしまうからです。社会実験において、個人差はないものと仮定します。刺激の有無だけが異なると仮定しています。実験を行うことで、回帰分析より明確に因果関係を示すことができます。今回の調査では重複回答も想定されるため、完全にグループ分けが出来ているとは言えません。

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統計分析データ(平均・分散)

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分散分析結果

 

  • 各グループに与えた刺激による差が正しいかどうかを示す統計的方法として分散分析を用います。分散分析はグループ分けをして、実験を行った場合に用いられることが多いです。刺激による変化で差が生まれた差を数値化してその平均値を算出し、各グループの平均の差を検証します。今回の調査結果の差は起こるべくして起こったのかを分散分析を行ったところ、各グループで生じた差は統計学的に有意(有意水準5%に対して約0.3%)であると言えます。各グループの獲得総数は異なりますが、同じことを質問していても、設問を変えるだけで、回答は変わることがわかりました。つまり、乃木坂46のメンバーとの年齢比較をするだけでイメージが変わると言えます。投票をするときに無意識に比較対象者との比較をして投票していることがわかります。印象操作なんて簡単にできますね。アンケートの結果を変えようと思えば、設問一つで変えることができます。「お兄さん」が一番多かったのは嬉しかったです(笑)。実は「おじさん」が一番多いかなと思っていました(笑)

 

 

最後に

  • 理科以外で実験は行えることをお話してきました。文系分野では心理学や社会学でよく行われています。今回はアンケートを使った実験でした。みなさんはどうでしたか?設問につられて別のところに投票されましたか?それとも、別のところに投票しましたか?同じことを質問するときに少し変えるだけ、相手の受け取り方が変わることがわかりました。これを使ってみると面白いかもしれません。
  • 最後になりましたが、社会科学での実験は非常に制限が多いです。人間が対象になるに倫理的な理由で行うことができない実験が多々あります。社会学者・デュルケームの著書『自殺論』を検証する行為です。ある地域には自殺の要因と思われるものを与えて、別の地域では何も条件を与えずに検証すれば、人が自殺する原因がわかるというものでした。確かに自殺の原因がわかると社会的にも有意義ですが、その過程で多くの命が失われ、その家族は実験の犠牲者となります。そのような犠牲を出してまで実験を行うことは倫理的観点から禁止されています。社会科学での因果関係の確定は自然科学と比較して非常に難しいです。限られた範囲で実験を行い、社会で起こっているできごとの分析を行わなければなりません。社会科学は倫理との協調が求められます。何かを調べるときは、僕を含めて、倫理的な行動をしないといけないですね。