坂道は上るもの

乃木坂46についてメインに書いていますが、時折、勉強や旅行や法律問題についても書いています。乃木坂46のファンの行動についても統計分析を行っています。

納税の感覚

 税務署のイラスト(確定申告)

 

はじめに

  • 消費税が8%から10%に上がってから1年以上が経ちました。たった2%であっても、10%になるとかなり上がったような気がしてしまいます。増税後のオリンピック景気で消費が伸びると思っていた矢先に新型コロナにより、景気が低迷してしまい、増税分がのしかかってしまいました。税金は払わなければないことはわかっているが、できれば払いたくないと思っている人は少なくないはずです。働いていれば、毎月所得税や住民税が引かれます。それだけでも結構な額になります。そのお金があれば、少しは美味しいものを食べることができるのにと思ってしまうほどです。今回は税金に対する考え方について書いていこうと思います。

 

税金って、そもそも何のために存在する?

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  • 税金は様々なものに掛けられていて、物を買ったときに発生する消費税、所得が発生した場合の所得税、会社が利益を出したときに掛けられる法人税など、様々なものが存在します。課税については必ず法律で規定されなければならず、行政の勝手な裁量で決めてはなりません。そのため、どれぐらいの割合の税金が引かれるかは税金に関する法律を見れば載っています。しっかりとした根拠に基づき、税金を回収しているので、税金が高いと思われる方は法律を変えるように働きかける必要があります。時の権力者の意向だけで決めることはできません。
  • 個人や法人から集められた税金は、国や地方の事業に充てられます。国や自治体は予算を組み、それを議会で承認を得て、その予算通りに執行します。それは国民から集めたお金なので、好き勝手に使わないようにするためにそのようなプロセスを踏んでいます。税金は払っているだけで恩恵を受けていないと思われる方もいらっしゃると思います。実は身の回りにある道路や橋、上下水道や清掃事業など、すべて税金で賄われています。さらに、消防や警察も税金で賄われているため、呼んだり、助けを求めたりしたときにその費用を請求されることはありません。税金がなければ、道路はボロボロのままで、街の治安も悪化してしまいます。さらに生活に困窮しても生活保護のような救済手段もなくなってしまいます。実は税金による恩恵を知らず知らずのうちに受けています。今回の特別定額給付金も税金で賄われています。税金は困ったときに助けくれるお金です。

 

日本とドイツの税金の捉え方

イザナギとイザナミのイラスト

  • 日本では税金を払うと取られてしまったと考えてしまいます。その税金の使い方が不透明で、信用がない部分があると思います。一つには国民の政府への信頼が低いのはあると思います。わけのわかないものに使われているとイメージがあるはずです。人間は悪いことにフォーカスを当てることが多いので、勝手に悪いイメージが先行してしまいます。税金で賄われていることについて、恩恵を受けているという意識はあまりないと言えます。しかし、日本でも社会保障は充実しており、国民皆保険制度のおかげで基本的に医療費は3割負担で済んでいるので、ちょっとした病気やけがで病院にかかることができます。これがアメリカだと10割負担なので、病院に行くハードルが非常に高いです。さらに病気やけがで働けなくなってしまった場合に、健康保険から支給される傷病手当金という制度があります。これは本来の所得の2/3ですが、非課税なので、実質的な手取りは変わりません。このように日本でも社会保障は充実していますが、まだヨーロッパほどでありません。

ビアジョッキを持ったドイツ人男性のイラスト

  • ドイツは日本より消費税率が高いですが、その分社会保障などは非常に手厚いです。ドイツでも軽減税率が導入されていて、生活用品や書籍は7%ですが、その他の品目に関しては19%の税金が掛けられています。他のヨーロッパ諸国でも消費税率が20%前後という国が多いです。ヨーロッパは福祉に重視しているので、税金が高くても将来の投資と思って、税金を払っています。公立の大学も一部の州を除き、無料です。有料であっても、日本の国公立大学とは比べならないほど安いです。日本以上に社会保障が充実しているので、こうやって見ると、ドイツは非常に素晴らしい国だと思われるはずです。この点においては非常に素晴らしいですし、日本も福祉国家を目指すのであれば、手本にすべきだと思います。
  • しかし、ドイツに住んでいたときに一番気になったのがポイ捨てです。ヨーロッパと言えば、綺麗な街並みをイメージされていると思います。確かに街並みは綺麗ですが、街は綺麗ではありません。いたるところにゴミが落ちています。日本では、そのような光景を見かけると「ならず者がゴミを捨てたな」となります。ドイツでは、悪びれるそぶりもなくゴミを捨てています。彼らがなぜ、平気でポイ捨てをするのか疑問に思っていました。彼らになぜそのようなことをするのかを聞くと「街にごみを捨てても、次の日の朝には清掃業者が片付けてくれるから。税金で清掃事業を行っているのだから、納税者が街にゴミを捨てて、何か問題でもある?」と言われました。信じられない返事でした。彼らは税金でポイ捨てする権利を買っているという意識に近いのではないかと思いました。税金を納めているのだから、その恩恵を思う存分受けるのは当たり前だと考えているように思えました。

 

納税者の権利orモラル

  • 「日本はヨーロッパ諸国と比較して、○○が劣っている」とよく耳にすると思います。景観保護についても同様です。そのイメージが先行してヨーロッパ諸国は綺麗な街と思われることがあります。ヨーロッパを数か国回りましたが、日本以上に街が綺麗で清潔な国はありません。ゴミが至る所に転がっているということはありません。確かに日本ではポイ捨て禁止条例などが制定されて、違反すると罰則が科せられるので、それによる抑止もあるかもしれません。しかし、ポイ捨てが禁止されていないエリアでもドイツとは比べ物にならないほど綺麗です。これは日本が世界に誇るべきことだと思います。推測にはなりますが、ドイツでポイ捨てを禁止することが納税者の権利を制限することになってしまうため、そのような規制が設けられていないのではないかと思います。5年以上前の話なので、今は変わっているかもしれませんが。

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線路に捨てられている吸い殻
  • ドイツのポイ捨てに対する考え方は日本ではまず考えられません。ポイ捨ての禁止が納税者の権利を制限しているという考えもありません。もし、そのような考え方があれば、野党や政権批判者が騒ぐに決まっています。日本もドイツ同様、清掃事業は税金で賄われています。日本でも、納税者の不満はありますが、自分の納めている税金の恩恵を受けるために、そのようなことをする人は少ないです。日本人の納税に対して不満を抱く理由は国や地方に対する信頼が低いこととモラルの高さだと思います。仮にポイ捨てをすることで、納税の恩恵を受けようとする前に、ストップがかかるはずです。適切な範囲で恩恵を受けようとするはずです。日本は他の国に比べて、社会倫理規範がしっかりしていると言えるのではないでしょうか。新型コロナウイルスの対応でも強制力がなくても、呼びかけだけで外出を自粛し、感染拡大を抑えることができ、欧米諸国よりも感染者も死亡者数も圧倒的に少ないです。モラルの高さが一つ決め手なのかもしれません。
  • ドイツは社会保障が充実していますが、納税者の権利を理由にポイ捨てが普通に行われていることについては疑問に思いました。話だけ聞けば、論理としては理解できますが、その行為を肯定する理由になるのかというのが正直なところです。納税の義務は法律で定められており、それに対する権利も同時に付与されます。これがドイツ人の権利意識にもつながっています。以前、この内容について書いたのでそちらもご覧ください。法で定められた範囲の権利行使をしているというのが彼らの考え方です。それに対して、日本は法で定められた範囲での権利行使より前に社会規範への適合を考えます。制限速度が40km/hの道路でも60km/hでみんな走行しているから自分もしようといった形で悪い面が取り上げられることが多かったですが、今回はその逆です。法で定められた範囲の権利行使は特に問題がなくても、それが社会規範に適合しなければ、そういった行為には及びません。日本の社会規範は時として法よりも厳しいものがあると言えます。

 

最後に

  • 納税している人は納税に対して不満を抱き、弱者に自分たちのお金が使われることに疑問を持つ人がいます。マルチ商法の勧誘では税金はムダ金として徴収されると言われることがあります。非常にバカバカしいです。税金とは、非常事態に使われるものであって、平時では使われないものだと思います。個人であれば、健康な人は税金の恩恵を受けることは少ないですが、ひとたび病気やけがをすれば、その恩恵を受けることになります。さらに範囲を広げると、何もない時は税金が使われる機会は少ないですが、大規模な災害などが発生すれば、自衛隊や消防が救助に駆けつけてくれます。これはすべて税金で賄われています。コロナ禍でもいつも以上に税金が使われています。税金が使われるような事態にならないに越したことはありませんが、それを避けることは不可能です。もしものために、国民から集めたお金を使うために存在するのが税金だと思います。そのために納税するのが我々の義務だと思います。税金の無駄は我々の意識一つで変えることができるかもしれません。